中国・広西で発見の「秦氏花山竜」、華南最古の竜脚類恐竜と判明

2025-09-10 14:19:33

秦氏花山竜の生態復元図。(南寧=新華社配信)

​中国広西チワン族自治区寧明県で発見された新種の恐竜「秦氏花山竜」が、華南地域でこれまでに見つかった最古の竜脚類恐竜であることが分かった。中国の学術誌「地質学報(Acta Geologica Sinica)」英語版に掲載された最新研究で明らかになった。

研究は広西自然博物館や寧明県文物管理所、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所などからなる研究チームが進めた。チームの莫進尤(ばく・しんゆう)広西自然博物館副館長によると、秦氏花山竜はジュラ紀初期から中期にかけて生息しており、同地域で以前見つかった「東興京竜」よりおよそ3千万年古い。今回の成果は、中国だけでなく世界のジュラ紀竜脚類恐竜の進化や分布を解明する新たな証拠になるとし、華南地域に多様な竜脚類恐竜動物群が存在した可能性を示していると述べた。

秦氏花山竜の化石は2007年、海丘水力発電所付近の採石場で偶然発見された。名称の「秦氏」は、化石を発見し関連部門に報告した寧明県海淵鎮の学校教師、秦剣(しん・けん)さんにちなむ。報告を受けた広西自然博物館と寧明県文物管理所が合同調査を実施し、背椎、尾椎、上腕骨、尺骨、腓骨(ひこつ)、趾骨(しこつ)など30点余りの不完全な恐竜骨格化石が発掘された。

秦氏花山竜の骨格復元図。(南寧=新華社配信)

研究チームは複数の独特な骨格的特徴に基づいて新種と判断。骨格の大きさから体長は約12メートルと推定され、中型の草食竜脚類恐竜で四足歩行をし、河川や湖のほとりの森林に生息していたとみられる。化石は、十万大山盆地の汪門層から出土。堆積層は中生代の陸上環境に属し、魚類のうろこや亀類の骨格、首長竜の歯など脊椎動物の化石も見つかっている。研究者は、当時この地域が湿潤で複雑な生態系を持ち、竜脚類恐竜が繁栄する条件を備えていたと見ている。

広西は恐竜化石資源が豊富で、古生物地層研究の「天然の実験室」とも呼ばれる。現在までに、ジュラ紀から白亜紀にまたがる化石産地10カ所以上が確認され、出土した化石は鳥脚類、獣脚類、竜脚類など主要な分類群を網羅している。扶綏竜や六榜竜、大塘竜など中国恐竜研究の基準標本も見つかり、古生態の復元に多様な証拠を提供してきた。

莫氏は「秦氏花山竜の発見は、華南地域におけるジュラ紀初期・中期の竜脚類化石の空白を埋めるものだ」と述べ、その独特な形態的特徴は、竜脚類恐竜の初期分化を理解するための新たな手がかりになる」との考えを示した。

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